言葉 | 表記の性 | 意味の性 |
---|---|---|
看護師 | 無性 | 無性 |
看護婦 | 女性 | 女性 |
看護夫 | 男性 | − |
王子 | 無性 | 男性 |
王女 | 女性 | 女性 |
王男 | 男性 | − |
「王女」という言葉を欧米ニュースの日本版記事で見かけて「看護師」と「看護婦」を思い出しました。結論、表記や意味に性別を含む言葉にも統合されるものや細分したままのものがあります。言語は不思議です。
「看護婦」はここ数十年の日本で日常的に使われていました。「看護師」の指示対象のうち女性だけを指す言葉でしたが、役割に性別は関係ない等の議論を経て公的な使用が控えられて、今では「看護師」に置き換えられました。性別を含む言葉が無性の言葉に統合された例です。なお、「看護夫」は見たことがありません*1。
「王女」は最近の日本でも違和感なく使われます。男性版の「王子」は表記上無性*2ですが指示対象は男性のみです。「王女」は対になる「王男」が使われない点は「看護婦」と似ていますが、無性の「王子」が「王男」の意味で使われており、かつ「王女」「王子」で細分したまま維持している点は異なります。
以上の違いには言葉の用途や時代背景(指示対象の役割、話者と指示対象の距離等)が関係するのだと思います。「看護師」は男女共通の役割だったから統合され、「王女」は女性としての役割が残るから細分したままとも考えられます*3。
細かく考えれば色々と思い付きますが、日本語と性別の関係は興味深いです。きっと誰かが研究済みだと思いますが、一度自分の言葉でまとめてみたいです。自分の思考の道筋が、いつか誰かの役に立つことを願って。